角屋 明日香(かくや・あすか)さん―2023年中途入社
サイバーセキュリティプロダクト事業部 代理店開拓グループ所属。スーツ販売店での接客を経て、人材派遣会社で法人営業の世界へ。BtoB営業の基礎を培う中で、顧客とじっくり向き合う提案型の営業に挑戦したいという思いが芽生え、転職を決意。現在は代理店営業として約2年間、長期視点の営業活動を行っている。
異業種からの転職とギャップ
――前職は何をされていたんですか?
角屋:人材派遣会社の営業です。その前はスーツ屋で接客をしていました。
――まったく違う業界から来られたんですね。DDS入社時から代理店営業だったんですか?
角屋:いえ、最初は金融営業に配属されました。ただ、金融は3か月ほどで、その後代理店担当になって、もう2年くらいになります。
――転職したタイミングでガラッと仕事が変わったと思うんですが、なぜDDSに決めたのですか? 業界も全然違うじゃないですか。
角屋:正直に言うと、飛び込み営業が自分には合わなかったですね。前職では休まず働いてはいたんですけど、飛び込みが基本の営業スタイルはやっぱりきつくて、周りとのやり方の違いにも悩んでいました。結局1年くらいで辞めたんですが、その中で法人営業やBtoBの基礎はしっかり学べたと思っています。だから次は、飛び込み以外のやり方で営業をやりたいな、と思うようになりました。
――逆に入社前、DDSで営業をやっていく時に感じていた期待とか「こういう職場だったらいいな」みたいなイメージはありましたか?
角屋:正直、入社前はそこまでハッキリしたイメージはなかったですね。ただ、銀行さんからの紹介でリード(見込み顧客)が来るって話は聞いていたので、飛び込みで一社一社回る営業じゃなくて、もう少し全体を見ながら動ける仕事なのかな、という感じはありました。結果的に、代理店を担当するタイミングや環境にも恵まれて、「運もあったな」と今は思っています。

代理店開拓&推進のリアル
――現在の業務内容を教えてください。
角屋:仕事の大半は「推進」と「開拓」です。
「推進」とは、既存代理店の販売を伸ばす役割を指します。
具体的には、すでに代理店様に導入いただいている自社のセキュリティ製品(DDH BOX)について、より多くの現場で活用してもらえるようサポートを行い、販売数の拡大につなげる業務です。すでに販売が進んでいる状態から100台、1000台へと拡大していくイメージですね。
一方で「開拓」は、新たな代理店を増やし、販路そのものを広げていく業務です。
新規の代理店様にDDSの製品をまず1台導入していただく、いわゆる「0→1」を創出するフェーズを担います。
――推進は拡大フェーズ、開拓は最初の一歩をつくるフェーズということですね。
角屋:そうです。実際、現在のお取引様も、代理店契約が始まった2022〜23年頃から成果が出るまでには約3年かかっています。代理店で台数を伸ばしていくには、それくらい時間がかかるのが一般的なんですよね。開拓はすぐに数字が出る仕事ではないので、長い目でお客様と向き合っていく必要がある仕事だと感じます。

営業としての気づきと変化
――営業職として前職とのギャップで一番大きいのはどこですか?
角屋:一番は「長いスパンでやっていくこと」と「年間スケジュールがめちゃくちゃ重要」という点です。ここはやっぱり大きなギャップがありました。
人材系の営業だと、クライアントが「人が足りません」と言ったら「じゃあこの人をアサインします」と、その場の課題に答えていく形が中心です。季節感や年間計画との連動もそこまで強くなくて、ずっと短距離走を繰り返している感覚というか。
一方、代理店営業は基本的に年度で動きます。多くの会社が3月決算なので、4月から「今年はこの商品を注力していくぞ」と販売店に方針を立ててもらうためには、12〜1月くらいからこちらが動き出さないといけないんです。
年末年始の挨拶のタイミングからもう勝負が始まっていて、早い段階で販売店の幹部の方々に「来年うちの商品を御社の目玉商品として扱っていただけませんか?」っていうのを、もうそこから交渉していって、販売店の幹部の方たちにも販売計画の中に「製品を何台売って、どれくらい利益を取るか」まで入れてもらう。ここが本当に重要だと実感しました。
――販売店側にも計画があるから、そこに組み込んでもらう動きが必要なんですね。
角屋:そうですね。こちらの動きが不十分だと、販売計画から外れてしまうこともあります。代理店様が扱う商材は何万点もあるため、その中で自社製品を「目玉」として選んでもらうのは、決して簡単ではありません。
――年間で見ると、具体的にどういう流れなんですか?
角屋:代理店営業の場合、イメージは以下の通りです。販売店の計画が達成できるよう、こちらも一緒に走る感じですね。
- 年末〜年始:挨拶・関係づくりを含めて、次年度に向けた“仕込み”が始まる
- 2〜3月:次年度の方針や注力商材が固まる
- 4月:目標を持って現場がスタート。ここから「現場へのアプローチ」が本格化
- 9月:半期の振り返り
資本業務提携がある場合、何も言わなくても一定数字が上がる仕組みはありますけど、それに胡座をかいてはいけない。年間スケジュールに沿って、こちらが推進し続ける必要があります。

代理店開拓で意識していること
――「開拓のセールス」を一言で表すなら、求職者の方にどう説明しますか?
角屋:一言で言うなら「売ってくださる代理店や販売店を増やすこと」です。「契約を取る」ことがゴールじゃなくて、“実際に売ってもらえる状態”をつくるのが仕事です。
――契約という「種」があって、それをまず1本売ってもらうために育てるイメージですね。
角屋:まさにそれに近いです。ただ、途方もないというか……やり方は販売店さんによって全然違う。手探りで進めている部分もあります。
例えば、相手が商社だったりとか、自社でクロージングを強く担ってくれる販売店ではなかったりする場合、取引の成約(クロージング)までこちらが伴走しなければならないこともある。どこまで手をかけ、どこまで一緒にやるべきか。ここは相手によって変わります。
いま取り組んでいる相手は企業規模も大きいので 「どのエリアから始めるか」 「セキュリティに強い支店はどこか」 といった議論を本部の方と定例で重ねていく形になります。ただ、会議の回数は増えるのに、意思決定が大きい分なかなか前に進まない。ここが難しさですね。
――契約後、特に意識していることはありますか?
角屋:いま強く意識しているのは「とにかく定例(ミーティング)を増やす」ことです。
例えば「資料ください」と言われた時も、ただ送って終わりにしない。「この内容で合っていますか?」と15分でも30分でも話す機会をつくる。相手の要望って、1回では分からないんです。「資料が欲しい」の奥に、何を実現したいのかがある。結局ここは関係性なんですよね。
すでに関係が深い販売店だと「いつもの感じ」で8割は通じる。でも新しい代理店は、ひとつひとつ目線を合わせていかないとズレが起きる。だから最低でも複数回ミーティングして、丁寧にすり合わせる必要があると痛感しています。
――頻繁に担当者が変わると関係を維持するのが難しそうですね。
角屋:ええ。担当をコロコロ変えちゃダメなんです。関係性は積み上げなので、半年で変わってしまうと、またゼロに戻ってしまう。代理店開拓は特にそこが顕著だと思います。

仕事のやりがいを感じる瞬間
――代理店開拓セールスとして、最もやりがいを感じる瞬間は?
角屋:やっぱり、最初の1台が出た時ですね。もちろん1台出たからといって安心はできないけど、1台出て2〜3台と続くと流れに乗っていく実感がある。そこに一番やりがいを感じます。
――印象に残っているエピソードはありますか?
角屋:東京ビッグサイトや幕張メッセなどの展示会に呼んでもらったときのことですね。
幹部の方々は「売っていこう」と前向きで、イベントにも呼んでいただけました。でも、実際に接点を持つのは現場の方々なんです。商品理解がまだ浸透していない状態で出展したところ、ブースにはまったくお客さんが来なくて……(笑)。
一方で、同じ販売店の別メーカーさんのブースには人が集まっていて、「えっ、こんなに違うの?」と驚きました。そのメーカーさんは知名度も高く、業務効率が上がるなど「効果が目に見える」商材を扱っていました。一方で、セキュリティは保険に近い商品です。成果自体が「何も起きないこと」なので、導入しても効果が実感しづらい。
だからこそ、セキュリティ商材を扱うことは営業として大きな鍛錬になる。エンドユーザーに必要性を腹落ちしてもらう力も必要だし、販売店にも「一緒に売りましょう」と動いてもらう力も必要になってくる。
単にモノを売るだけではなく、その先を見据えた営業力が試される分野だと思います。

仕事で一番嬉しかったこと
――自社のセキュリティ製品(DDH BOX)を最初に知った時、率直にどう感じました?
角屋: 「すごい」と思いました(笑)。「こんなことできるんだ」って。
もちろん、未経験で入っているので最初は機能を聞いても「?」でしたし、正直「売るの難しそうだな」とも思いました。
でも「出口対策」の製品は、実はそれほど多くありません。その点で私たちには、「デジタルデータリカバリー」と「デジタルデータフォレンジック」という2つの事業ブランドがあります。前者はハードディスクやSSDなどの記録媒体から消失したデータを復旧するサービス、後者は記録媒体に残されたデジタル情報を解析して不正や犯罪の証拠を明らかにする「デジタル鑑識」サービスです。
セキュリティ製品の遮断機能そのものは、他社製品にも搭載されていることがあります。しかし、お客様との商談で差別化の話になったとき、「万が一インシデントが起きても、データ復旧とフォレンジックまで一貫して対応できます」と言えるのはDDSならではの強みだと思います。
――この仕事をしていて「嬉しい」と感じた出来事は?
角屋:やっぱり自社製品の商談に行ったお客さんから、後日「データ復旧」や「フォレンジック調査」の依頼が来ることですね。DDSならではだと思います。
開拓の販売体制がまだ整い切っていない段階でも、販売店の方が「紹介料とかは別にいいから、困っているお客さんにつなげるので対応してくれないか」と言ってくれたことがあって。
困った時に思い出してもらい、つないでもらえるのは純粋に嬉しいです。
結局それも、事前に関係性ができていなければ起きなかったはず。インシデント前(予防)と後(復旧・調査)の両方に対応できるという強みは、イベントに出るほど実感します。

求める人物像
――代理店開拓に向いているのは、どんなタイプの人ですか?
角屋: 一番は「コツコツできる人」です。力技で押し切る、みたいなのは合わない。開拓は本当に、めげずにコツコツ丁寧に積み上げていく仕事なので、伴走できる人、丁寧な人が向いていると思います。
――入社前に知っておいた方がいい「現実」や「大変さ」はありますか?
角屋:開拓は、入ってすぐに数字が出る仕事ではないという点ですね。短期の結果より、長い目線で積み上げられる人が合うと思います。
――最後に、求職者へのメッセージをお願いします。
角屋:代理店開拓は、関係構築の基礎を学べる場だと思います。
人材営業も関係構築は重要ですが、人の入れ替わりが激しい分、どうしても短期勝負になりやすい側面があります。一方で、代理店営業は年単位のスパンで関係を築き、時間をかけて信頼を積み上げていく仕事です。
だからこそ、腰を据えて相手と向き合い、丁寧に積み上げていくBtoB営業の基礎を身につけたい人には、とても向いていると思います。
これまで力技で成果を出してきた人や、「この営業スタイルは本当に正解なのだろうか」と感じ始めている人ほど、代理店営業を経験することで、新しい視点や学びを得られるはずです。ぜひ、一度この世界に踏み込んでみてほしいですね。

※本記事の内容は、2026年1月取材当時のものです。

